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広島簡易裁判所 昭和40年(サ)1464号 決定 1965年11月15日

申立人 中村シヅエ

右代理人弁護士 平川実

相手方 藤田オユミ

主文

本件申立を却下する。

理由

本件申立の趣旨、並びにその理由は別紙裁判所書記官の処分に対する異議申立と題する書面のとおりである。

さて、執行力ある正本の再度付与の申請がなされた場合執行文の付与機関は単にその必要性の有無のみを調査・判断するのみでは足りず、更に執行文付与を必要とする債務名義の内容(債権者・債務者が特定していること、債務名義には実体上の給付請求権が表示されていること、給付の内容が執行に適するものであること、法律が執行力を認めていること)を備えているか否か、又、債務名義の原本が形式的に有効要件を備えているか否か等単純執行文付与の場合におけると同様、一般調査事項をも調査すべきものと解するを相当とするところ、申立人中村シヅエ・藤田オユミ間の広島簡易裁判所昭和三一年(イ)第一七八号建物明渡請求事件につき昭和三一年八月二八日成立した訴提起前の和解の和解調書には実体上の給付請求権は何等表示されていないこと明かである。

されば当裁判所書記官藤田敬司が申立人のなした執行文の再度付与申請に対し拒絶処分を為したことは正当であると言うべきである。

しからば本件申立は理由がないのでこれを却下することとし主文のとおり決定する。

(裁判官 菅納一郎)

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